白内障を手術しないで治すことは可能か?
白内障は目の水晶体が濁る病気で、視力低下や視界の不明瞭さを引き起こします。主に加齢や病気、怪我が原因ですが、濁った水晶体が自然に回復することはありません。
白内障の治療法は症状や進行度合により異なり、主に「点眼治療」と「手術」の2種類が挙げられます。
日常生活に支障がなければ点眼薬によって進行を遅らせることができますが、これは完治を目的としたものではありません。
進行が著しい場合や生活に支障が出ている場合は、手術により視力を早期に回復できることがあります。
白内障は治療可能な病気ですが、放置すると、症状の進行によっては失明に至ることがあります。生活に支障が出ている場合や少しでも自覚症状がある場合は、眼科を受診しましょう。また白内障と診断された方は症状や生活習慣に合わせて適切な治療を開始できるよう、眼科医と相談しましょう。
点眼治療

自覚症状がない、または軽度で日常生活に影響がない場合は、点眼薬を使用して白内障の進行を遅らせることができます。しかし、点眼治療は進行を抑えるだけで、病気を治すものではありません。
白内障の進行速度は個人差がありますので、定期的な検査と診察を受け、目の健康状態を把握する必要があります。
手術

白内障手術において、白く濁った水晶体を除去し、その代わりに眼内レンズを挿入します。この眼内レンズは長期にわたり安全に使用でき、一度手術を行うと白内障の再発はありません。
手術前には数回の検査を行い、患者様の生活スタイルや希望に合わせて最適な眼内レンズを選びます。
当院の白内障手術について
当院では、日帰りで行える白内障手術を行っております。最新の技術と設備を使用し、患者様の負担を最小限に抑えながら効果的な治療を実施しています。手術は約10分で完了し、ほとんどの場合、痛みはほとんど感じません。
白内障は予防できる?
現在の医療技術では、白内障を発症させない予防策はありません。
白内障の主な原因である加齢、病気、怪我に対しても、自分で完全に防ぐことは不可能です。
初期段階であれば、白内障は点眼薬による治療で進行を遅らせることが可能です。白内障の発症を完全に防ぐことは難しいですが、重要なのは早期に発見し、その進行を防ぐことです。
白内障の予防について
①点眼薬の使用

白内障を治療する際に使われる点眼薬は、キノイド物質の成長を抑えることで白内障の進行を遅らせ、予防にも効果があります。白内障発症の原因となるキノイド物質が水溶性タンパク質と結合することを防ぐことで、水晶体の白濁を防ぐ効果があるとされています。そのため、水晶体の白濁防止効果がある「ピレノキシン点眼液」や「カタリンK点眼液」の使用が有効とされています。
点眼薬を使用する際は、医師の指示に従い、定期的な検査を受け、白内障の進行状況を確認しましょう。
②紫外線カットの効果があるサングラスを使用

白内障は水晶体内のタンパク質が酸化し白濁化する現象であり、その原因のひとつに紫外線があります。
紫外線の多くは角膜に吸収されますが、一部は角膜を通過し水晶体で吸収されてしまい、それにより活性酸素が生じて水晶体の酸化を促します。この酸化を防ぐためには、紫外線を効果的に防ぐことが重要です。
紫外線は正面だけでなく側面からも入るため、UVカット機能付きのサングラスに加えて、帽子やサンバイザーの使用も効果的です。また、サングラスを選ぶ際には、UVカット率が高いものを選ぶことも重要ですが、レンズの色が濃すぎると瞳孔が広がり紫外線の侵入量が増えてしまうため、なるべく色が薄い紫外線カット率の高いレンズを選ぶことがおすすめです。
③食生活の改善
糖尿病の方は白内障発症のリスクが高くなります(糖尿病性白内障)。血中の糖分が多いと水晶体が濁って視力が落ち、高血糖の状態が続くことでと白内障の発症リスクが増します。そのため、バランスの取れた食生活など糖尿病の対策をしっかりと行うことで、白内障の発症を抑えることができます。
また、水晶体のタンパク質が酸化することで水晶体の濁りが生じるため、抗酸化性のある食品を積極的に摂取し、酸化を防ぐこともおすすめです。
白内障の予防効果がある抗酸化物質と食品
栄養素 | 食べ物 |
---|---|
ビタミンC | 焼きのり、緑茶(せん茶)、レモン、いちご、ブロッコリー |
ベータカロチン・ルテイン | ほうれん草、にんじん、かぼちゃ、ピーマン |
ゼアキサンチン | オレンジジュース、ブロッコリー、とうもろこし、柿、ほうれん草などの緑黄色野菜 |
また、ビタミンEやポリフェノールといった栄養素にも抗酸化作用が含まれているので、積極的に摂取しましょう。
④運動

定期的な運動は血流を改善し、白内障の予防に効果的であるとされています。また、生活習慣病の予防にも効果があります。
屋外での運動が日常的な方は、紫外線が白内障の進行を早める可能性があるため、UVカット機能があるサングラスや帽子を活用して目を保護するようにしましょう。
⑤禁煙
喫煙は白内障のリスクを高めます。これは、喫煙がニコチンを通じて毛細血管を収縮させ、血流を悪化させるためです。さらに、喫煙は抗酸化成分であるビタミンCを破壊することが知られており、これが白内障を進行させる原因となります。