瞼が垂れる・瞼が開きにくい
加齢に伴って、瞼を支える筋肉や皮膚が緩むと、瞼が下に垂れる、または瞼が開きにくいといった症状を引き起こします。このうち、筋肉が緩む場合は眼瞼下垂と言い、皮膚が緩む場合を眼瞼皮膚弛緩と言います。一般的に多いのは、どちらのみではなく筋肉と皮膚の両方が混ざっているケースです。視界が狭くなり、下がった瞼を補うために無意識におでこの筋肉を使うため、おでこのしわが増えたり、頭痛、肩こりが酷くなることがあります。 治療方法は、主に手術治療です。レーザーよりもメスを用いた手術のほうが綺麗に仕上がるとされています。所要時間は、両目で約1時間弱です。
眼瞼下垂とは
瞼には、瞼板という軟骨があります。瞼板にある、上眼瞼挙筋腱膜・ミュラー筋という筋肉が縮むことによって瞼が上がります。この筋肉と瞼板の結合が緩むと、瞼が上がりにくく、瞼が重い・物が見えにくい症状となります。
眼瞼下垂のタイプは、先天性眼瞼下垂と後天性眼瞼下垂とあります。先天性眼瞼下垂は、生まれつき瞼の筋力が低下している、また視機能の発達不良に留意が必要とされています。弱視が疑われる場合があるため、手術などで視機能の発達を促していきます。生後間も無くから、眉毛やあごを上げてものを見ようとするしぐさには注意して、気になる場合は当院にご相談ください。
後天性眼瞼下垂は、加齢に伴って上眼瞼挙筋膜やミュラー筋などの筋肉と瞼板の結合がたるみ、瞼が上がらなくなる状態を言います。徐々に進行するので、自分では気付きにくい特徴があり、眼精疲労や肩こりが伴います。加齢のほかには、アトピー性皮膚炎で瞼を強く触れて掻く人や、ハードコンタクトレンズを長期間装着している人などに多く見られます。また、動眼神経麻痺や重症筋無力症のような神経麻痺によって起こる眼瞼下垂もあるので、気になる症状がある方は早めにご相談ください。
治療方法は、伸びた上眼瞼挙筋腱膜・ミュラー筋と瞼板を縫い合わせます。術後は、瞼が腫れますが、徐々に解消していきます。腫れが完全になくなるまで数カ月かかりますが、手術によって瞼が上にあがり、視界が広くなります。他の疾患が原因で眼瞼下垂になった場合は、その部位の治療を行います。
眼瞼皮膚弛緩とは
加齢に伴って、上瞼の皮膚が緩むことでまつげの上に皮膚が覆って瞼が重く感じたり、上方の視野が欠ける状態を眼瞼皮膚弛緩と言います。自分では気づかず、人から言われて初めて気づくケースも多く、また緩んだ皮膚と涙で皮膚がかぶれてしまうこともあります。
上方の視野が欠けるのを補おうと、無意識におでこの筋肉を使って瞼を上げるため、おでこのしわが増えたり、慢性的な頭痛や肩こりなども現れることも多いとされています。
治療方法には、瞼縁皮膚切除や眉毛下皮膚切除などを行います。
よくあるご質問
眼瞼下垂、眼瞼皮膚弛緩の手術に関する質問について記載いたします。
手術に痛みはありますか?
局所麻酔で行いますので、とくに強い痛みを感じることはありません。術後、腫れたり内出血したりすることもありますが、1、2週間で元に戻ります。
健康保険は適用されますか?
医師が診察・検査を行い、眼瞼下垂もしくは眼瞼皮膚弛緩で手術が必要だと診断した場合は、健康保険適用となります。
手術後に入浴、運動などをしても大丈夫ですか?
首から下の入浴は翌日から可能です。ただ、傷口に障るため、洗眼、洗髪は2日ほど控えましょう。術後1、2週間後に抜糸しますが、1ヵ月ほどは激しい運動は避けてください。
ハードコンタクトレンズは使用できるようになりますか?
可能ではありますが、あまりお薦めしません。下垂が再発したり、進行したりすることがあります。
手術のついでに二重にしてほしいのですが?
機能回復が目的で美容整形手術ではありませんので、すべてにお応えすることはできません。目立つところですのできれいに仕上げることを優先します。
若い年代で症状が現れた場合、何の病気が考えられますか?
若い年代で瞼が垂れる症状が見られる場合、考えられる原因としては先天性眼瞼下垂や神経筋疾患(例えば重症筋無力症)があります。重症筋無力症は、筋肉の弱さが特徴で、特に目の周りの筋肉に影響を与え、瞼が垂れる原因となり得ます
若い年代で瞼の垂れが見られる場合は、適切な診断と早期治療が必要のため、速やかに専門医の診断を受けることをお勧めします。
眼瞼下垂は何歳くらいから?
眼瞼下垂は、年齢を問わず発生する可能性がありますが、特定の年齢層で見られる傾向にはいくつかのパターンがあります。
- 先天性眼瞼下垂:生まれつきの状態で、新生児や幼児期に診断されることが多いです。子供の場合、この状態は発育過程で目立つようになることがあります。
- 加齢による眼瞼下垂:主に中高年に見られ、加齢による筋肉(特に眼瞼挙筋)の弱化が原因です。一般的には、40歳を超えたあたりから筋肉の老化が進み始めるため、この年齢以降に症状が現れやすくなります。
- 後天的な眼瞼下垂:外傷、神経障害、または他の眼科手術の影響で、どの年齢層でも発生する可能性があります。
眼瞼下垂は自然に治りますか?
眼瞼下垂が自然に治ることは少なく、ほとんどの場合、治療が必要です。特に症状が視力に影響を与える場合や美容上の問題がある場合は、手術による治療が一般的です。しかし、症状が非常に軽度で日常生活に支障がない場合は、治療をしないこともあります。
眼瞼下垂はテープで治せますか?
視界を改善するために瞼をテープで持ち上げることで、眼瞼下垂を一時的に改善することは可能です。しかし、これはあくまで一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。また、テープの使用は皮膚への刺激やアレルギー反応を引き起こすリスクもありますので、症状がある場合は眼科への受診をお勧めします。
眼瞼下垂を放っておくとどうなる?
眼瞼下垂を放置すると、視野が制限されることで日常生活に支障を来す可能性があります。視界の一部が覆われるため、読書や運転などの活動が困難になります。また、視力発達の重要な時期にある子供が眼瞼下垂を放置すると、視力の発達不全(弱視)を引き起こすリスクがあります。成人の場合、長期間にわたる視界の障害は頭痛や目の疲労の原因となることもあります。
瞼の筋力を改善するための日常的な対策にはどのようなものがありますか?
瞼の筋力を改善するためには、眼筋の運動が効果的です。例えば、瞼を意識的に何度か強く上げる運動を日に数回行うことがお勧めです。また、十分な休息とストレス管理も眼筋の健康には重要です。栄養面では、筋肉機能をサポートするビタミンB群、ビタミンD、カルシウムなどを十分に摂取することも有効です。
手術以外の治療法にはどのようなものがありますか?
手術以外の治療法としては、プリズム眼鏡や特殊なコンタクトレンズが挙げられます。これらは視界の歪みを最小限に抑えることができます。また、軽度の眼瞼下垂の場合は、ボトックス注射が一時的な解決策として用いられることもあります。これにより、瞼を持ち上げる筋肉を強化する効果が期待できます。
眼瞼下垂は目薬で治りますか?
目薬を使用しても眼瞼下垂は治りません。
眼瞼下垂が神経障害や筋疾患によるものであれば、特定の目薬で一時的な症状の改善が期待できますが、根本的な解決には至らないことが多いです。
眼瞼下垂は夕方になるとひどくなる?
眼瞼下垂は日中の筋肉の疲労により、夕方になると症状がひどくなることがあります。
特に神経性の疾患がある方は、症状が顕著に現れることがあります。
眼瞼下垂になると常に眠いのはなぜですか?
眼瞼下垂により、瞼が垂れることで視野が制限され、目を開けるのに余計な労力を要するため、より疲れやすくなり眠く感じることがあります。また、視野が制限されることで、集中力が低下し、それがさらに疲労感を増す可能性があります。